熱き思いに、胸高鳴らせ(でも、方向性、ちょっと違うぞ、私・・・。) [本]
2020年、近未来小説です。
衰退していく日本社会。
遺伝子操作など、もうごく当たり前になっている昨今では、
単なるSFと言っていられるものでも、ないのかもしれない。
優良な遺伝子を持つように操作することが、結構な額を掛ければ出来るように。
そこのところは、今のところモラルの問題。
兄弟間でも、ジーンリッチ、即ち優良遺伝子操作をしたものは、
していない天然遺伝子の者と比べると段違いの優秀さを示していた。
それはもう、確執があるのは当たり前になるわな。
『弟はジーンリッチだから・・・。何故俺はジーンリッチにしてくれなかった?!』
ヒトの優秀さの前に、そんな僻みは出て来るに決まっている。
そして、ある日、厚労省、製薬会社、大学の研究者が次々と廃人になる事件が起きた。
メールを介した、一種のテロ。
ジーンリッチの、復讐が始まる。
優秀で、差別をされた理不尽さ。
新しい世界への飛躍を目論んで。
決して有り得ない光景では、ないよなぁと思うのです。
優秀さは、どこまでが許容されるのか。
どうやら、『天使の卵』という前作があったようで、その10年後のお話です。
年上の女性への憧れ。
21歳の慎一と、29歳夏姫のガラスの恋。
って感じか。
う〜む。
やっぱり私は、こういう恋愛小説弱いなぁ。
読後の余韻とかもなく、『なるほど、そうか。』としか。
もっとどんどこ読みまくって、耐性つけるしかないのかなぁ。
いかん。
恋愛情緒、皆無な発言だな・・・。
異動してからは図書室があるのと違う棟なので、足が遠のいておりましたが。
丁度同じ部署の子が、図書室を管理している組合の部長をやっていたので、
『これ、読みたい〜。入れて〜。』とお願いしていましたら。
『新刊、入りましたよ。今、棚に並べて来ました。』
と教えてくれたので、早速一番乗りで借りました。
う〜ん、真新しいハードカバーの手触りは、やっぱり格別だなぁ。
自分では、高くて場所取るから、買わないもんなぁ。
いや、それにしても。
今年初めて出会った(本の)、作家さんのレベル高いこと、高いこと。
池井戸氏も、その中の一人ですね。
食わず嫌いで、もったいなかった・・・。
直木賞受賞ということで、作品もいろんなメディアに紹介されておりますが。
主人公がロケット開発研究者として、種子島宇宙センターでの打ち上げに立ち会う場面。
成功したかに見えた打ち上げは、しかし、
数分後には被害を最小限に食い止めるために、海へ突っ込ませるしかなかった。
そして数年後。
佃航平は、大田区の町工場の社長として資金繰りに東奔西走していた。
親から継いだ佃製作所は、エンジン部品などを作製している。
社員約200名の会社には、その規模からするとオーバースペックとさえ感じられる
クリーンルームなどを備える。
確実に、開発研究者の航平のこだわりから来たものだ。
ロケットエンジンの完全自社開発にこだわる大企業の前に、
弱小佃製作所の持つ特許が立ちはだかる。
(これ、M重工っぽい。
元宇宙三課のKちゃんには、是非読んでもらいたい。)
立ちはだかるとか云っても、綱渡りな駆け引きが続きます。
中小企業の資金繰りの苦しさにつけ込んだ、大手。
大手のメンツにつけ込んだ、中小。
わくわく、どきどきする。
読後のぞくぞく満足感たら、もう。
すんごく、楽しい。
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