ざわざわ。 [本]
私が読んだ柳氏の作品の中では、初めての女性の主人公か。
SPをしていた元警察官、冬木杏奈は、現在六本木のバーで働いている。
元SPだったという事で、バーの主人と近くのキャパクラ店員の二人が、
勝手にボディーガードを安請け合いしてしまったりする。
警察にも断られたということで、元チェス王者のアンディのボディーガードを
お金持ちの中国人のお嬢さん宋蓮花が頼んで来る。
時々出て来るチェスの話とか、ちょっと分かるともっと面白いのかも
しれないけどなぁ、と思ったり。
外国ものとかでも、結構あるもんなぁ。
私が分かるのは、オセロくらいなもんだし。
本来、勝手にボディーガードを引き受けたりするのは、
違法、ということだが。
う〜む、そうだったのか。
SP時代のツテを頼って、綱渡りな感じでアンディーをガードし始めるも、
言う事を聞かず、勝手に動き回る蓮花とアンディー。
あくまでも律儀にガードする杏奈は、報酬を貰うわけでもないのに、
どうしてそこまで?と思ってしまう。
いろんな誤解やエゴが重なり合い、こじれてしまったのに、
反省する人がいないよなぁ。
でも、こういう淡々とした女性が主人公の話、
結構好きなんだな。
以前、下村脩氏の『クラゲの光に魅せられて ノーベル化学賞の原点』を読み、
面白かったので、根岸氏はどんなことを?と期待して手に取りました。
何というか、下村氏との大きな違いは、自慢話が多いという所か・・・。
根岸カップリングというのがどのように発見されたのか、
そんな内容を期待していたものの、見事に裏切られました。
同じアメリカで研究を続けた日本人と云っても、
やっぱりいろんな人がいるんだなぁ。
下村氏は『研究ばか』な感じが、良いなぁと思えたのですが、
根岸氏は自信家でクレバーなイメージが・・・。
夢を持ち続けよう、ってメッセージ、上滑りして伝わって来なかったなぁ。
大地震を経験する前だったら、
また感じ方が違ってしまったのかもしれない。
東海地震に触発されて、富士山の噴火が起こる。
婚約中の雑誌カメラマンの達也とライターのさゆり。
結婚を控え、倦怠期の不安カップルの諍いが、
大地震を予測するというアマチュア研究者、富士山噴火が近いという研究者
たちに接することに依って一つの目的へと向かわせるようになる。
地震を予知することは出来ない、という地震研究の大御所。
それをアマチュアが出来ると云ったところで相手にされないだろうことは、
容易に想像出来る。
トンデモな話で、いい加減な考証しかしていないとレビューでは手厳しい。
でも、東日本大震災を経験してみて、ちょっと違う見方が出来るのでは、
と思ったものでした。
こちらも大地震前はどうしようか迷っていたものですが、
震災後に購入しました。
高校生の時に阪神大震災に遭い、地震学者になった瀬戸口。
震災被害に遭った代議士の堂島の秘書で、同じ高校の同級生の亜紀子。
同じく同級生で、防衛大を出て陸上自衛隊の施設大隊に属する松浦。
彼らは皆、阪神大震災で肉親を亡くし、
地震に無力なだけでありたくないと、もがいているのだ。
瀬戸口は大学でオーバードクターの研究者として、
大御所の教授達が研究する統計学的なものよりも、
地震予知に傾倒しているのだが、それを信用する者もない。
大御所の意見に阻まれて・・・というのが、『富士山大噴火』でも
出て来ますが、結局のところは根っこは同じだ。
何かをして失敗するよりも、何もしないで被害が大きくなったとしても
そちらの方がましだという考え。
今の日本にはびこりまくっているもんだよなぁ。
東京直下型大地震、M8のもの。
帰宅難民とか、既に皆が体験したものが、
リアリティある描写であったのだな。
高嶋氏の専門であった原子力系、『メルトダウン』『原発クライシス』
も読んでみようと思っています。
今さらどうにか出来るものではないけど、という気持ちもあるけれど、
何も知らないよりはましかも、と思うので。
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